女になる、ということ(前回の続き)
今まで女としての強い武器なんて持っていたことがあったか、と聞かれれば、「ない、一度もない」としか答えられない人生を歩んできた私である。
それが何故アラサーにもなった今頃、こだわり始めたのかという話になる。
特にスタイルが良いわけではない。
身長は人並み以下だし、胸も小さいし、痩せてもいない。
おまけに負傷兵のように体中傷だらけ。
よく聞く「体目的で異性が寄ってくる」ということはまずない。今までも経験がない。
ならば顔立ちが整っているかと問われればそんなこともない。
男顔よりであるし、目が二重なくらいしか褒められそうなところがない。
性格なんて、言わずもがなである。
ワガママだし、一丁前に我だけは強いし、そのくせメンタルは弱いし、気立てもよくない。
おまけに家事が得意なわけでもなければ、言動が華やかなわけでもなく、というか喫煙者だし、言葉遣いもよくないし。
こう挙げ連ねていくと、どれ程女としての魅力に欠けているかがわかって、少し悲しくなる次第である。
次第であるが、性別だけは立派に女だから困ってしまう。
恐らく、自信がないだけなのだ。
今まで性別に囚われない生き方をしてきたけれど、私は晴れて結婚して最愛の旦那がいて、その旦那に嫌われやしないかと恐れているのだ。
そしてまた推測であるが、旦那はそんなことを気にする人間ではない。
ないはずなのに、私が勝手に気にしているだけの話である。
今までの人生の中で、女らしい女として生きてきたことがないからこそ、こだわるのだ。
普通に自分の性別を謳歌してきた人間ならあまり気にしないのかもしれない。
そんな風ならよかったのだけれど、実際問題そうじゃないから今こうやって悩んでいる。
大した問題ではない。
性別は確かに女だったけれど、それを意識せずに生きてきた人間が、旦那によってやっと意識するようになっただけである。
その変化に少しだけ戸惑っているだけの、ただの独り言である。