華の20歳、女盛りの頃の話
20歳の頃、異性に恋愛対象にされるのが嫌で仕方なかったのです、実は。
歯学部生との合コンに参加したことがあったのですが、何故かうまく皆ツーショットになっていく。私もある男性といい感じにされてしまった。流れで連絡先まで交換してしまった。
そして後々になって、それをすごく後悔している自分がいました。
ある日の専門学校の実習帰り。
すごく天気がいい日で、夕陽なんかもきれいだった気がする。
そう、私は居ても立ってもいられなくなってしまった。
衝動的にケータイを取りだし、件の男性に電話をかけ始めました。
一体何事だろうと彼は思ったことでしょう。
そんなこと知ったこっちゃないけど。
「あ、もしもしめろです。この間はどうも。」
そんな感じで話を始めた気がする。
至って普通の挨拶です。
あっちも、「あーこちらこそ。どしたの?」
くらいの軽い感じ。
その軽いノリのまま、私は言ったんです。
「私、男の人興味無いんで!じゃ!」
それだけ言い放ち、電話を切りました。
彼は大変困ったと思います。
いきなりの電話、謎の告白。
私が彼だったら超びびります。
それから彼と会うことも、電話をすることもなく、告白されてもいないのに一方的に振ったような形になり、関係はなくなったのでした。
もう彼自身に興味がなかったとか、好みじゃなかったとかの次元じゃない。
本当に「女」として見られるのが嫌だった。
非常に気持ち悪かったのです。
それからというもの、私は彼女のいない男性とは極力近づかないようになりました。
逆に彼女がいると安心しました。そういう人にとって、自分は恋愛対象外になると思ったからです。
ただの友達としては男性は気楽で付き合いやすかった。それでよかった。
私は出来るだけ女性を感じさせないような格好をしていましたし、男性に負けないくらい酒も飲んだし煙草も吸った。
よって、自然と男の同級生や後輩と仲がよかった。
そのときはそうやって、ただ遊ぶのがただだただ楽しかった。
悲しくも、華の20歳を私は女としては生きられなかったのでした。