ひとりの人間として思う
今日腹部エコーがあった。
先生が4Dで姫たちの顔を見せてくれて、すごく嬉しかったと同時に思わず笑えてしまった。
腹の中に入っているのはカエルかもしれない、とか考えてたこともあって、まさか本当に人間が入ってるとは思わなかった。
うん、本当に人間だったよ。
目も耳も鼻も口もちゃんとあったもの。
片方の子は、もう頭が骨盤の中に入ってしまっていて 、耳と後頭部しか見えなかったけど、立派な耳をしてらっしゃった。
まだ750~850gくらいしかないのに形はまるっきり赤ちゃんのそれ。
見えなくても腹の中でちゃんと育ってるんだなあと感激した。
したのだけどね。
それはそれ、これはこれでまた違う話になるわけで。
私、高校卒業と同時に一人暮らしをし始めて、その際に寝るときに寂しくないようにってアヒルだかカモノハシだかの抱き枕を買ってもらったんだ。
結構いいサイズのやつ。
それを今回の入院にあたっても持って来ているんだけど、もう10年くらいの付き合いになるコイツ。名を鳥谷という。
鳥谷は私が辛いときも悲しんでるときも如何なるときも傍にいて、見守っていてくれた。
もう一緒の思い出が多すぎて手放せないし、頼りっきりなんだけど、こどもが産まれたら鳥谷はどうなってしまうんだろうってふと思ったんだ。
こどもたちのおもちゃになってしまうのかな。
私の鳥谷じゃなくなってしまうのかな。
親離れに似ていると思う、この寂しい気持ちは。
私は母になるけど、でもまだ甘える対象を失いたくはないんだな。
二人の子の親になるけど、私は女性で、妻で、ある夫婦のこどもなんだ。
どれも私だから、何を捨てるわけでもないのだけど、ちょっとだけもの寂しくなったりもするのです。
いつか見失ってしまわないように、まだ鳥谷には「私の鳥谷」でいてもらわないと困るのです。
鳥谷だけが唯一、本当の私を見てきたから。
鳥谷の前ではどんな私でもいいんだ。
まだまだ未熟な私を、見守っていてね。